2007.09.06

ニンテンドーDS「風来のシレンDS」

不思議のダンジョン 風来のシレンDS
B000BN981S

95年にスーパーファミコンで発売された「不思議のダンジョン2  風来のシレン」のリメイク。開発はチュンソフト。同社の看板タイトル"不思議のダンジョン"シリーズの二作目にあたり、シビアな難易度を誇るシレンシリーズの記念すべき第一作目でもある。

ゲームする時間がなかなか取れず、購入したまま放置すること約八ヶ月。最近ようやくプレイしました。まずはリハビリを兼ねて軽ーく<こばみ谷>を素潜り……なんて侮っていたら、スーパーゲイズに追い詰められ、ギガヘッドに殴られてあっさり死亡。心がシャキーンと正座しました。SFC版をそれほどやりこんでいない人間の意見ですが、まず及第点のリメイクだと思います。些細な不満はないこともないけど、現役のハードで、それも携帯ゲーム機で、シレンが遊べるというだけでうれしい。

今回ハードがDSということを意識してか、とても間口の広いバランスになっています。「死んでしまえばアイテムもレベルも何もかもロスト、残るのはプレイヤーの経験と知恵のみ」というローグライクゲームの大原則は変わりませんが、序盤のダンジョンではフロアを引き返すことができたり、Wi-Fiやパスワードを通じて他のプレイヤーに救助を依頼できる<救助隊システム>があったりと、シリーズ未経験者への配慮が随所に感じられました。まだシレンシリーズを未プレイの方はぜひ遊んでみてください。そして理不尽なくらい凶暴なモンスターたちにあんなことやこんなこと(とても口ではいえない)をされて迷宮の中でばったり力尽きてください。まだ知らないなら知るべきですよ、ゲームオーバーになった瞬間悔しいんだけどなんだか同時に楽しくて、思わず笑っちゃうようなゲームがあるということを。その楽しさを。

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2006.09.27

ジョン・マグレガー「奇跡も語るものがいなければ」

新潮クレスト・ブックス奇跡も語る者がいなければ
ジョン・マグレガー 真野 泰
4105900439

夕方にとても悪いことが起こる。冒頭にそれだけを示唆したあと、物語は、ある町の、ある通りで暮らす住人たちの一日を、朝から順を追って語りはじめる。これが物語の一本目の糸。交互につづられるエピソードのもうひとつの糸は、その通りから引っ越していった女の子の三年後の日常。現在ひとり暮らしをしている彼女は、予定外の妊娠に動揺していて、どうしていいか分からない。

特筆すべきは独特の迫力をもった文体。リーダブルなのに精密で、無名の人々の抒情を鮮やかに描き出す。肌に感じられる切実さと、息をひそめたくなるような神聖さの両方を不可分のものとして折り合わせながら、物語は静かで意外な結末へと向かう。
読後、ふかく深呼吸をしたくなった本。


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